口の中が乾いて話しづらい、食事を楽しめない、口臭が気になる——これらの症状に心当たりはありませんか?これらは「ドライマウス(口腔乾燥症)」と呼ばれる状態が関係しているかもしれません。ドライマウスは多くの人が経験する可能性がある一方、適切にケアしないと口腔内の健康だけでなく、全身の健康にも影響を与えることがあります。
ドライマウスとは、唾液の分泌量が低下し、口腔内が乾燥する状態を指します。この症状は、単なる口の渇きにとどまらず、口内炎や虫歯、歯周病のリスクを高めるほか、食べ物を飲み込みづらくするなど生活の質(QOL)にも大きな影響を与えることがあります。ドライマウスは特に中高年層に多く見られます。健康な口腔内環境を保つためには、ドライマウスの原因を理解し、適切な対策を講じることが重要です。
ドライマウスは、さまざまな要因が複雑に絡み合って引き起こされます。その一つの大きな要因として挙げられるのが、加齢による唾液腺の機能低下です。特に更年期以降の女性ではホルモンバランスの変化が加わることで唾液の分泌量が減少し、口腔内の乾燥が起こりやすくなります。
さらに、多くの人が服用している医薬品もドライマウスの原因となることがあります。例えば、抗うつ薬、降圧薬、抗アレルギー薬などは、副作用として唾液分泌を抑制することが知られています。複数の薬を併用している場合、この影響がさらに顕著になることもあります。
日々のストレスや緊張もまた、唾液の分泌に影響を与えます。人はストレスを感じているときや緊張しているときには交感神経が優位になるため、唾液腺の働きが抑えられ、口が乾きやすくなります。喫煙や過度なアルコール摂取といった生活習慣も唾液腺に悪影響を及ぼし、結果として口腔乾燥を引き起こします。
他にも、シェーグレン症候群や糖尿病といった疾患では体内の水分や分泌液のバランスが乱れ、唾液の分泌量が低下するため、ドライマウスの原因となります。このように、ドライマウスはさまざまな要因によって引き起こされるため、原因を正しく理解し、自分に合った対策を講じることが重要です。
ドライマウスの対策として、まずは日常生活の中でできる工夫が重要です。例えば、こまめな水分補給は最も基本的な対策の一つです。特にエアコンの使用や乾燥する季節では、意識して水分を摂取することが大切です。また、硬めの食品を取り入れることで、唾液腺を刺激し分泌を促進することができます。原因として挙げた生活習慣の見直しも重要なポイントで、規則正しい生活や十分な睡眠を心がけ、ストレスを軽減することも唾液分泌を助ける効果があります。
さらに、漢方薬を取り入れることも有効な選択肢です。例えば、麦門冬湯は喉の渇きや咳、口腔内の乾燥などを伴う症状に用いられ、唾液腺の機能を助ける働きがあります。麦門冬湯以外にも五苓散など、有効な漢方薬はありますが、自己判断で使用するのではなく、専門家に相談すると安心です。ドライマウスは放置すると症状が悪化する可能性があるため、早めの対応が大切です。
ドライマウスは日常生活に支障をきたすだけでなく、放置することで口腔内の健康を悪化させる可能性があります。自分の生活習慣を見直し、適切なケアを取り入れることで予防や改善が可能です。気になる症状がある場合は、早めに専門家に相談し、健康な口腔環境を取り戻しましょう。日々の対策が、快適な毎日への第一歩となります
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(参考)
1)ドライマウスにおける加齢の関与,老年歯学,22(2),P106-112,2007
2)ドライマウスの分類と診断,日本口腔外科学会雑誌, vol.55, No.4,
P169-176,2009
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