気になる！？認知症

認知症は、年を重ねるにつれて気になる方も増えてくる病気の一つです。厚生労働省によると、現在日本に約200万人の患者がおり、その数は超高齢化社会に伴い今後も増加していくと言われています。今回は認知症について知りたい女性客と先生の会話を通じて、認知症への理解を深めていきましょう。
「『認知症』と『もの忘れ』はどう違うの？
「『もの忘れ』は一時的に物事を思い出せなくなっている状態で、加齢とともに誰にでも起こる現象です。一時的なものなので、何かのきっかけで思い出すことがあります。
一方、『認知症』は病気であり、発症すると『何かを経験した』ということ自体忘れてしまい、思い出すことはありません。そのため認知症になると、次第に日常生活にも支障を来すようになってしまいます。」

★認知症の定義
『いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態（およそ6ヶ月以上継続）』（厚生労働省）
「どうして『認知症』になるの？」
「認知症は、主に『アルツハイマー病』、『脳血管性認知症』、『レビー小体認知症』の3つに分かれます。それぞれ原因や症状が異なっており、2つ以上を同時に患うことも少なくありません。」
＜アルツハイマー病＞
脳の神経細胞が傷害されて、脳が小さく萎縮する病気です。脳の表面にある溝が広がるとともに、特に記憶を司る部位である「海馬」が萎縮してくるのが特徴です。病名の「アルツハイマー」は、発見者のアルツハイマー博士の名前に由来しています。
★症状
軽度：少し前の記憶が無くなる。
中度：時間や日付などの感覚があやふやになる。
高度：人物が分からない、食事ができない（介護が必要）。
＜脳血管性認知症＞
脳の血管がつまる「脳梗塞」や、脳の血管が破れる「脳出血」などが原因となり脳の記憶に関する部分が傷害されることで起こる認知症です。脳のどの部位が障害されたかによって身体面、精神面で現れる症状も異なります。例えば、以下のような症状が出てきます。
★症状
身体面：歩き方が小刻みになる、ろれつが回らなくなる。
精神面：意欲が低下する、怒りっぽくなる、もの忘れをする。

＜レビー小体認知症＞
脳の大脳皮質と呼ばれる部分に、α-シヌクレインというタンパクが固まった「レビー小体」が増えることで、神経細胞が壊死してしまい起こる認知症です。『幻視』の症状が現れるのが特徴です。病名の「レビー」は、発見者のレビー博士の名前に由来しています。

★症状
幻視(意識がはっきりしているにも関わらず、実際は見えてないものが見える)、歩行障害（姿勢が前かがみになり、歩きにくくなってくる）、記憶障害、見当識障害（自分の置かれた状況がわからない）など。
「『認知症』になったらどうするの？」
「認知症は放置すると時間の経過とともに悪化していきますので、できるだけ早く薬を用いて進行を遅らせるようにします。今年は認知症の型として一番多いアルツハイマー病に対して、新たに3種類の治療薬が使えるようになり、患者さんにとっても治療の選択肢が増えました。

また認知症予防にも積極的に取り組む事が大切です。例えば『塩分と動物性脂肪を控えたバランスの良い食事をとる』、『転倒に気をつける（頭の打撲は認知症を招く）』や『くよくよせず明るい気分で生活を送る』といったことが予防に良いと言われています。最近は、カラオケが予防に良いのではないか？といった研究も行われているそうですよ。」