眼とアンチエイジング

眼は日常生活を送る上で非常に大切です。しかし年齢と共に老化が眼にも現れてきてしまいます。例えば、加齢黄斑変性症、緑内障、白内障、老眼、ドライアイ･･･眼に関する多くの疾患が加齢と関連深いことが分かってきています。そこで、今回は眼の健康をテーマにご紹介します。

◆眼の構造◆
光は角膜により屈折してから瞳孔を通過します。更に、水晶体により屈折し、網膜へと投射されます。網膜に投射された光は、網膜において神経信号に変化し、脳へと伝達され、脳がその信号を処理してはじめて「物が見えた」となります。なお、水晶体は、毛様体筋の働きによって厚みが変化し、屈折力が変化します。

なぜ、「老化」するの？？　　※ からだの科学263(2009)より

様々な仮説がありますが、現在最も注目されている仮説の一つは酸化ストレス仮説です。これは、酸化ストレスが直接身体に障害を起こすとともに、炎症が起こって組織障害を起こし、老化するというものです。この仮説に従って、抗酸化ビタミンやミネラル(ビタミンA・C・E、亜鉛など)が老化を抑えられるか、米国で疫学調査が行われました。その結果、これらのビタミン類が老化に関連する疾患、加齢黄斑変性症の進行を抑制することが明らかとなりました。

◆加齢黄斑変性症◆

米国における失明原因の第一位(65歳以上)は加齢黄斑変性症です。50歳以上、とくに60-70歳代で多く発症します。この病気は、加齢に伴い眼の黄斑部分の機能が低下します。

◇症状・・・黄斑は、視力や色の識別などに関わっています。このため加齢黄斑変性症では中心が暗く見える、物がゆがんで見える、視力低下するなどの症状がでます。進行すると失明する場合があります。

◇危険因子･･･加齢、喫煙、紫外線、高血圧や動脈硬化など

◇予防のために日常生活でしたいこと・・・酸化ストレスを防ぎましょう。そのために
・紫外線を防ぎましょう。
・眼に必要な栄養素を摂りましょう。
抗酸化作用のあるビタミン類(ビタミンC・E・β-カロテン、亜鉛など)や、黄斑部網膜に存在する天然色素の一種、ルテインなどがオススメです。

◆老眼と眼精疲労◆

老眼は、眼のピントあわせをする水晶体の調節力が低下し、近くのものに焦点を合わせることができない状態です。ピントあわせが上手くできないと、眼精疲労にもつながります。眼精疲労を起こすと、頭痛・肩こりといった全身症状などが出ます。
◇日常生活でしたいこと・・・目元を温める。度のあう矯正器具(眼鏡・コンタクト)を使用する。精神的なストレスや体調によっても影響されやすいため、ビタミン剤の点眼や内服などがオススメです。

☆めがねの選び方、４つのチェック☆

□眼鏡は落ちてこないか？
□耳は痛くないか？
□レンズの真ん中に眼がきているか？
□レンズにまつ毛がつかないか？
加齢とともに、視力が悪くなったり、老眼が進んだりするので、作り変えることも必要です。年に1回は視力や眼の病気の検査をしましょう。

◆目の前を何かがちらつく？？◆

☆飛蚊症（ひぶんしょう）☆

視界に浮遊物が見え、視線をずらすと、一緒に動きまわって見える、これが飛蚊症です。これは、眼球内の硝子体に生じた濁りが見えている状態です。硝子体内のコラーゲンが繊維状になり淡い混濁になったり、硝子体が視神経乳頭からはずれて輪状の混濁になったりします。
大半は、老化に伴って起こる症状で軽いため、通常治療は行いませんが、急に浮遊物が増加したときは網膜裂孔や網膜剥離の可能性がありますので注意が必要です。