子宮頸がん

「子宮頸（けい）がん」は近年、出産適齢期とされる20～30代の若い女性に急増しています。「子宮頸がん」は他のがんと違い、検診とワクチン接種によって、未然にほぼ確実に予防できる病気です。日頃の症状として不正出血が特徴的で、「おりもの」の増加もあります。特に、性交時の出血は大切な警告症状です。

「子宮頸がん」はヒトパピローマウイルス（HPV）の感染によって、子宮の入り口に発症するがんです。HPVは約100種の型がありますが、「子宮頸がん」を発症するのはそのうち約15種類とされています。その中で、16型と18型のＨＰＶが日本人の60～70%に検出されています。HPVは、性行為の経験があれば誰でも、一度は感染するごくありふれたウイルスです。通常は免疫ネットワークによって排除されますが、慢性的な疲れやストレスなどによる免疫力の低下によって持続感染が起こり、数年から十数年経過して「子宮頸がん」を発病します。

★「子宮頸がん」は若い女性に増えています★
がんは高齢者の病気と思われがちですが、生活習慣病に起因する大腸がん、胃がんや肺がんなどは40代以上に発病します。「子宮頸がん」の発症ピークはさらに低く30代で、下図に示すように出産適齢期とされる20～30代の女性に急増しています。これは性行為の年齢の若齢化と、若年層で子宮頸がん検診の受診率が低いことに原因があります。一度でも性行為の経験があれば、誰しも年齢や性交回数に関係なく、発病の危険性があります。

★「子宮頸がん」は「子宮体がん」と異なります★

「子宮頸がん」は子宮の入り口の子宮頸部に発症するもので、相当に進行するまで自覚症状がありません。気が付いた時には、たとえ命を落とすことがなくても、子宮の摘出ということになりかねません。一方「子宮体がん」は子宮本体の内部に発症するもので、主にホルモンのバランス異常によって、50～60代の更年期から閉経後にかけて発症します。

★「子宮頸がん」の発症にかかわるウイルスとは★
子宮頸がん発症の原因は、性行為によって感染するヒトパピローマウイルス（HPV）です。HPVは粘膜や皮膚にも生息する一般的なウイルスです。性行為によって、約8割の女性が一度は感染するとされています。HPVは約100種ありますが、そのうちの約15種のウイルスが子宮頸がん発症の高リスクとされています。しかし、この高リスクのウイルスに感染したとしても必ず発症するのではなく、身体の免疫力が低下した状態で慢性的に持続感染することによって、子宮頸がんとして発症します。子宮頸がん発症の高リスクHPV以外の低リスクHPVは、尖圭（せんけい）コンジローマの原因となります。とりわけ子宮がん発病予防には、日頃からストレスを軽減し、また体力を維持し、疲労を持ち越さず免疫力を低下させないことが重要です。

正常細胞から異形成、子宮頸がんになるまでの流れ

★子宮頸がん検診★
子宮頸がんの検診は、婦人科や職場の定期検診で受けることができます。検診は柔らかいブラシなどで子宮頸部から細胞を取ることで行い。結果は約１週間でわかります。子宮頸がん検診の主な目的は、前がん病変の異形成を発見することです。検診結果で精密検査が必要とされても、全ての人が子宮頸がんを疑われているわけではありません。もし要精密検査や再検査が必要となった場合には、婦人科で二次検査を受診することになります。

★子宮頸がんは、予防することができるがんです★

子宮頸がんは、発病まで平均して約10年かかります。この期間内に、前がん病変の異形成の段階で発見することができれば、子宮頸がんになるのを予防することができます。この異形成の多くは、治療によって正常の細胞に戻ります。日常の生活で、その日の疲れを翌日まで持ち越さないようにし、免疫力を落とさないで維持していくことが大切となります。また同時に、検診とワクチン接種も大切です。検診率とワクチン接種率をそれぞれ80%以上にすると、子宮頸がんは制圧可能とまで言われています。