帯状疱疹

早めに対処！帯状疱疹

帯状疱疹は、「水痘・帯状疱疹（すいとう・たいじょうほうしん）ウイルス」、つまり、水ぼうそうのウイルスによって発症する病気です。このウイルスに初めて感染したときは水ぼうそうになり、この時に体の中にウイルスが潜伏し、再活性化したのが帯状疱疹です。他の人から感染して帯状疱疹になるのではありません。女性に多く、８０歳までに３人に１人がかかるといわれています。

帯状疱疹は、まず痛みが生じ、数日後に体の左右どちらかに赤い発疹が出て、進行すると発疹は帯状に広がり、やがて水ぶくれになります。発症しやすいのは胸、背中、腹部、顔、頭部などです。初期の赤い発疹は虫刺されやあせもにも似ていますが、ピリピリとした痛みがあります。悪化すると跡が残ったり、痛みが続いたりするので、早めに医療機関を受診し、治療しましょう。

◎帯状疱疹の原因◎

水痘帯状疱疹ウイルスに初めて感染したときは、水痘（水ぼうそう）として発症します。水ぼうそうが治癒しても、すべての水痘・帯状疱疹ウイルスが死滅するわけではなく、生き残ったウイルスは感覚を司る知覚神経の根元などに潜伏してしまいます。後年、ストレス、老化、がん、免疫低下などによる体調不良を誘因として、潜伏したウイルスが再び活性化し、知覚神経を伝って皮膚に到達して増殖し、帯状疱疹を発症します。

◎こんな症状があれば帯状疱疹かも◎

・ピリピリ、チクチクするような痛みが出てきた

・かゆみやひりひりするような皮膚の違和感がある

・虫刺されのような赤い発疹が出てきた

・痛みや発疹は顔や体の片側だけにある

・発疹の中に水ぶくれも混じっている

・痛みが出た場所と発疹が出た場所はほぼ同じ

・発熱やリンパ節の腫れ、頭痛なども伴う　

◎こんな人が帯状疱疹になりやすい◎

・女性

・高齢者（５０歳以上になると急増）

・精神的ストレス

・過労

・妊娠

・糖尿病やがん、膠原病（こうげんびょう）などの持病がある

・ステロイド薬や抗がん剤などの使用で免疫力が低下

◎帯状疱疹の治療◎

帯状疱疹の治療では、発疹が生じて３日以内に抗ウイルス薬の服用を開始するのがポイントです。抗ウイルス薬は途中で自己判断でやめずに、７日間のみ続けることが大切です。帯状疱疹は、皮膚症状が現れる前からピリピリした痛み（前駆痛）が始まることがあり、それがだんだん強くなります。このような急性疼痛に対しては、解熱鎮痛薬が用いられます。治療が遅れると、重症化して発熱等の全身症状が出たり、帯状疱疹後神経痛（皮膚の症状は治ったのに、痛みが３か月以上続く）が残る場合があります。発症初期から痛みがひどかった人や免疫力の低下した高齢者等では、神経の損傷が大きく、後遺症として神経痛が残りやすいといわれています。帯状疱疹後神経痛の治療には、解熱鎮痛薬の他に神経ブロック（局所麻酔薬の注射）があります。

◎帯状疱疹の日常生活とケア◎

（1）休養

仕事を休むなど家で体を休め、リラックスします。ただし、帯状疱疹後神経痛の場合は、痛みが多少残っていても、極力体を動かすことが大事です。血流がよくなり、自然治癒力が働いて神経も修復され、痛みが治まってきます。

（2）食事　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

帯状疱疹を発症したということは、免疫力が低下している状態ですので、栄養のバランスのよい食事を心がけましょう。特にビタミンB_１２やビタミンEは、抗神経炎作用があります。帯状疱疹の患者さんがビタミンB_１２またはビタミンEを服用したところ、痛み等の症状の改善や、帯状疱疹後神経痛に移行する患者さんが減少したという報告があります。

◎帯状疱疹と免疫記憶細胞数◎

潜伏しているウイルスが再活性化しようとしても、通常は免疫記憶細胞（体内に潜伏したウイルスを記憶し監視する細胞）がそれを抑えるため、帯状疱疹を発症しません。免疫記憶細胞の数が減少した50歳代で帯状疱疹を発症することが多くなっています。