撃退！皮膚乾燥

寒さや老化などが原因で、顔や手、お腹、すねなどの皮膚が乾燥しやすくなります。乾燥した皮膚はかゆみや湿疹、顔の皮膚ならばシワの原因にもなります。このような皮膚トラブルを起こさないために、皮膚を乾燥から守りましょう。

●○皮膚乾燥とは？○●

健康な皮膚の角質層は約30%の水分を含んでいます。この水分が減少すると｢皮膚乾燥(乾燥肌)｣といわれます。そうなると、角質細胞が硬くなったり、柔軟性がなくなり、触れた感じや見た目において皮膚表面の滑らかさがなく、粉吹きや、けば立ちといった現象がみられます。
　寒い季節は空気が乾燥し、皮膚乾燥になりやすいといわれています。皮膚乾燥になると、皮膚のバリア機能が低下し、アレルゲンや微生物が容易に侵入しやすい状態になります。これらのトラブルを防ぐためにも、角質層の水分を維持することが皮膚の健康に重要です。

●○乾燥から皮膚を守る３つの成分○●

皮膚の潤いを保つために重要な働きをしているのは次の３つの成分です。
皮脂膜(天然のクリーム)
汗腺から出ている汗と皮脂腺から出ている皮脂が混ざり合ってできるクリーム状の膜で、角質層の表面を覆っています。皮膚の水分蒸発を防ぎ、外部からの影響を軽減させています。
角質細胞間脂質
角質細胞の間に存在する脂質で、セラミドが代表的なものです。角質層から水分を逃さない働きがあります。
天然保湿成分
角質層の細胞の中にある水溶性の吸湿成分で、主にアミノ酸や尿素などから構成されています。表皮細胞が角質層へ移行するときにつくられるもので、水分を吸着する働きがあります。

○●皮膚が乾燥する理由●○
・老化：皮脂の分泌量の減少や新陳代謝の低下に伴って天然保湿成分が減少します。
・血行不良：気温が低下すると血液循環が悪くなり、表皮細胞の形成活動が低下したり、角質細胞間脂質の生成が悪くなります。また、皮脂や汗の分泌も減り、皮脂膜の形成も不十分になるため、皮膚は乾燥します。
・空気の乾燥：大気が乾燥していると皮膚の水分が蒸発しやすくなります。　また、冷暖房器具で室内が乾燥しても、皮膚の水分が蒸発しやすくなります。
・洗いすぎ：入浴時に体を強く洗いすぎたり、洗剤の使いすぎによって、角質細胞間脂質などの潤いを保つ成分が減少します。

○●皮膚を守る工夫●○
保湿成分を補う
保湿剤を使って、角質層の乱れを整えましょう。保湿剤は刺激が低いなど、自分に合ったものがお勧めです。入浴後早めに、適量と感じる量よりもやや多めに塗布するのが効果的です。
皮膚に刺激を与えない
入浴は38～40℃のぬるま湯にし、ゴシゴシ洗わないようにしましょう。また服装ですが、ウールやけばだった化学繊維は肌を刺激します。下着類は保湿性のある木綿素材がお勧めです。
湿度に注意！
湿度が30％以下になると皮膚から水分が蒸発しやすくなります。冷暖房器具による乾燥を防ぐために、窓を開けて換気したり、加湿器を上手に使い、部屋の湿度を保ちましょう。
皮膚乾燥は｢かゆみ｣、｢湿疹｣、｢アトピー性皮膚炎｣などの皮膚疾患を引き起こす原因となります。皮膚の水分とバリア機能を保つためにも、室内湿度と入浴後の皮膚ケアに留意した、皮膚に優しい生活習慣を心がけましょう（きょうの健康　2008年12月号より改変）。

補給で撃退！皮膚乾燥
健康な皮膚を保つために、材料として必要になる栄養素を補給しましょう。様々な栄養素の中でも皮膚の潤いを保つのに役立つといわれているのが下記の成分です。
コラーゲン、グルコサミン、β-カロチン　ビタミンB群、ビタミンC　ビタミンA
日頃から、バランスのとれた食生活と皮膚に良い成分の補給を心がけ、皮膚乾燥を撃退しましょう。